嬉しいんだけど,寂しい

そういえば,セナが死んだときのことを思い出した.

なんだか,結構大きなニュースになっていて,子供ながらに(当時11歳)アイルトン・セナというドライバーがいて,ものすごく人気があったんだけど,死んでしまったのかと思った.*1ただ,何より印象に残ったのは,当時大好きだった生ダラの「生ダラカートグランプリ」で,セナから送られてきたヘルメットを手に取り,石橋貴明が感無量という表情でいるところだった.嬉しいんだけど,寂しいというあのアンニュイな表情だけはなぜか覚えている.おそらく,子供にはまだ理解し得ない表情を彼がしていたからだろう.

3年前ぐらいからテレビでF1を見ているのだが,何でこんなにF1だけ好き好んで見るようになったのだろうか.ドライバーだけではどうにもならない,まさしく理系のスポーツだからというのが理由なのだが,もっとおおもとにあるのって,このセナが死んだときに見た生ダラだったんじゃないだろうかという気さえする.変な感じだ.当時の私はF1に興味がなかったし,アイルトン・セナという名前しか知らなかったのだから.もしそうであればちょっといい話なのだが,邪推かもしれない.きっとそうだ.

この前のイタリアGPで,セナのあとに王者の座に君臨し続けたミハエル・シューマッハが引退を発表した.ひとつのスポーツの世代交代をリアルタイムで見られるのは,嬉しいんだけど,寂しい.

*1:ちなみにちょうどその前年のクリスマスに逸見政孝が亡くなって,あのときのテレビからにじみ出てきた悲壮感や喪失感は今でも記憶にある.今考えてみると,テレビにぽっかり大穴が開いてしまったのが,1993年の暮れだったのだ.