「とりあえず」既読書

やっと読み終わった・・・

時間は実在するか (講談社現代新書)

時間は実在するか (講談社現代新書)

この本は,マクタガートによる「時間の非実在性の証明」を紹介しつつ,その批判的検討を行っています.因みにこのマクタガートの議論は,「マクタガートパラドックス」といって,昨今の分析哲学をドライブさせてきたものでもあるようです.

一度読んでみるといいと思います,とんでもなく険阻な道程[ですが/ですから].一つ一つの議論で立ち止まって,整理しなくてはついていけない本という意味では,新書としては贅沢の極みではないでしょうか.それだけ「善玉」の脳疲労が溜まった本であります.そういう本を渇望されている方には,非常にアタックする価値がある本.特に4章以降,マクタガートの証明の検討と著者自身の時間論のスケッチの部分は,緊張感が漲っているといっても過言ではないです.

ところで,「とりあえず」という表現をしましたが,これも著者独自の時間論にとってはキーコンセプトになるものです.私はこの部分がとても面白かったので,それだけ付記.