高校生クイズの話(3) 何であんなに早いタイミングで押せるのか

今回の高校生クイズで,恐らく観た人がひいてしまうとすれば,早押しクイズにおけるタイミングの早さにあるんだと思います.あれも,折角長戸さんとかがいるのにどうにも説明がないのが酷い気がします.

そこでこの場で,(クイズに詳しくない人向けに)ちょっと説明してみようかと思います.とは言い条,飽くまで私見ですから,「そんなもんなんだなあ」ぐらいで読んで欲しいんですが.

だから逆にクイズプレーヤーの方々は大いに突っ込んでもらって結構です.尤もな話,私自身が全然短文のクイズに強くないので,説明する人間としてはあまり適してないことは明らかです*1.でも,こういう説明って,まず誰かがやらんと後に続かないものだと思います.ということで,色々書いてくれればここにも反映していきますので,是非.あと,上のエントリに続きがあるよ.
以下,準々決勝のことを念頭において話しますよ.

ルールが行動を決めている

まず,準々決勝のルールというものに注目してみましょう.正解すれば+1pt,誤答すると1問休みというルールでした.このルールは,実際のところかなり誤答に甘いルールです.例えば,誤答の際のルールとして考えうるものとして,「○問休み」の他に,「減点する」とか「通算○問誤答すると失格になる」というものがありえます.それらに比べると,数問ボタンを押さなければまた復活できて,なおかつ得点の損がない「○問休み」ルールはかなり罰則として緩いです.

となると,参加者はどう行動するか.結論を言ってしまえば,かなりの賭けに出られるということです.つまり,問題文のかなり早い段階で,答えの候補が絞れれば,仮にその問題が引っかけ問題であったにしても,兎に角答えてみるということがやり易いわけです.正直な話,今回の準々決勝でも,「それは押すの早すぎだろう」という場面はありました.特に,毎年高校生クイズは結構問題を捻ってくるわけだから,普通ならもう少し問題文を聞いてみるのが筋でしょう.それでも躊躇せずに押せる理由の一つは,やっぱりルールです.

限定可能なタイミング

次に,問題について.

「略称をアルファベット3文字でMSFという〜」という問題がありました.これはもう,「MSF」で押せます.「略称がMSFなものは他にもあるだろう」といわれそうですが,その中で一番有名で,それなりの人間が知っていそうなものは「国境なき医師団」しかないわけです.

同じようなことが,「札幌証券取引所〜」という問題でも言えます.札幌証券取引所にまつわる問題なら色々作れます.でもその中で,例えばニュースに出てくるような単語があるとしたら,「アンビシャス市場」ぐらいしかないですよね.

実はこれ,作る方の立場になってみるとわかりやすいです.クイズを作る人が恐れることの一つは,「誰も押さない」所謂スルーです.これが連続すると,一般的にはゲームとしての空気が悪くなってしまうし,参加者のペースも乱れます*2.だから,下手に重箱の隅をつつくような問題を出せない.大事なのは,参加者が知識として持っている可能性があるかどうかなのです.そうして結局は,ニュースにチラッとでてきたり,印象に残る雑学だったりが,クイズの題材として選ばれることが多くなります.*3

そうなれば,字面上はどういう問題が次に続くかわからんけど,「これしか問われそうなものはないよな」という見当がつくケースが出てくるわけで,そうなれば人より早い段階で押せるという仕組み.クイズにできるような事柄は,ある程度限定されてくるわけですよ.

*1:思いつくだけでも,自分より適任な人が20人弱いるorz

*2:スルー連続はきついですよ.私の場合,なんか作った側として惨めな気持ちになってくることも屢々あります.

*3:勿論,例外もありまして,その例外の方が極めてクイズとして潤沢なものだという気が個人的にしています.