Associé

日経ビジネスAssociéの特集が「あなたの成果を5倍にするアクティブ『思考法』」というもの.なんだか面白そうなので読んでいる.

繰り返してやることによって記憶効率はよくなるが,回数が多くなると今度は飽きてしまって効率が下がる.そこで普段と違うことをして印象を持たせるという議論は,一見すると当然のことなのだが,大事なのはこれが「言葉として」述べられているということにある.内容がtrivialだからといって,それが常に実践できるものであるとは限らない.内容が当たり前であればあるほど,忘れ去られやすいという傾向だってある.

amazon:ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力の現在完了の項を読んで,ものすごく感銘を受けた.そのことを知り合いに話したら,「当たり前じゃない」と言われたことがある.うーん,当たり前のことなんだけれど,それを「過去から現在へとグッと迫る」というイメージでまとめてしまったこと,そしてその感覚で会話レベルの現在完了のニュアンスをすべて説明しようとしていることのほうが重要なんじゃないのか.上から見る人にとっては当たり前なことも,それを言葉でうまく表現されたときに,うまいところにスッとはまるような感銘を受ける人間だっているのだ.

大学入試を経験した私の,数少ない経験からの断定で申し訳ないが,「いい参考書には当たり前のことしか書いていない」と思っている.力のついた人や専門家,教師から見れば当たり前にも思えることなのだが,それをいかにして整理するかに執筆者の腕がかかっていると思う.要するに「言葉のマジック」だ.私も塾講師をしていてそのことを最近切に感じてきている.どう教えるか,最も重要でもっとも悩まなければならないところだ.

話は脱線してしまったが,前出のAssociéの特集,人によっては「当然のこと」と思うだろうが,その言語化の巧さに注目してほしいのだ.そういう意味でも,最近の推薦記事のひとつである.あ,そういえばダ・カーポの「短文上達法」をまだ読んでないや.

ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力 (Native speaker series)

ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力 (Native speaker series)