飛行機読書っていうのはいいんだけど,揺れが酷いと酔うから気をつけた方がいいよ

読んだ本.

「資本」論―取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)

「資本」論―取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)

これは以前の入不二さんの本より読みやすいんですが,それでも慎重に読まないと,躓く可能性のある本ではあります.
著者の主眼はやはり「労働力=人的資本」論の擁護を展開する最終章なんでしょうが,それよりも第1章の「所有」論が素晴らしい.社会契約説とそれを取り巻く人たち(具体的には,ホッブス,ロック,ヒューム,ルソー)の思想がしっかりと纏まっています.それどころか,著者の洞察によって,単純な古典の域を脱した「生き生きとした」思想に読み替えられている部分が印象的でした.倫理とか世界史とかで社会契約説を学んだ高校生とか,読んでみると面白いよ.「です・ます」体で取っつきやすいし,かといって簡単かというとそうでもないというバランスのよさです.

取り敢えず,参考文献の方にも触れていこうかなと思います.